青いアレ。

あめふり、霧雨はぬれる。

  • カヌーと

昨夜、海外出張から帰ってきたばかりのカヌーと某しながわ駅で待ち合わせる。高校2年生の時に同じクラスになったカヌー。そして同じ美化委員として、ともに校内美化活動に勤しんだカヌー。その時からの付き合い。年に数回、ナニやカニやと理由をつけては集合する同級生の中でもさらにしげく杯を交わす仲でもある、カヌー。ある時期なんて、毎週末酌み交わしては、歩道に投げ飛ばされたり、スッ転んだり、街路樹に調体(てっぽう)打ったりと、わりとヒドイ感じの酔っ払いでもあったカヌーとわたし。ああ、若かりしあの頃よ。


そんな二人は友人たちの中でも、渡航経験なし、ノウパスポートのマイノリティである、否あった。「海外なんて絶対行かないもんね!日本国内でさえも訪れたことのない場所がまだまだ沢山あるのに、それなのに海外へだなんて!海外なんて絶対行かないもんね!」と誰某の海外旅行土産を大事に握りしめ、負け惜しみばかりをブチつき、慰めあっていたのに。だのに、そんなカヌーが、ついに、先日、ヨワイ33歳にして初のパスポート取得。初の海外。裏切られた。正直、くやしい。ずるい。わたしだって…!で、ある。


そんな裏切り者・カヌーが未渡航者のわたしに慰みものとして、かどうかは分からないけれども、初海外出張の土産に、だか記念に、だかと、今話題のアレを買ってきてくれたのである。あの、なんか青いアレ。ガンビーに似ているとか似ていないとかのアレ。もっと自由に!もっと素直に!的なアレで話題になった国際博覧会のマスコットキャラクターの置物である。


その青いアレは見た目以上にずっしりとしていた。重い。そして尻の感じが妙に艶かしい。ぷりん、としている。無駄にぷりん、としている感じからかキャラクター的な可愛らしさの中に忌々しさが見え隠れしている。なんだろう、見ているとなんだかちょっとイラっ、としてくる。酔っ払ったわたしはどういうわけだか、是非ともその忌々しさを記念に残そう!残したい!と強く思ったのだ。流石酔っ払い、行動が不可解である。


ひとしきり忌々しさを撮影しすっかり満足したわたしは改めて裏切り者・カヌーに対して理不尽な恨みツラミや、常套句であるところの「海外なんて云々」を尻が無駄にぷりん、とした青い置物を片手にブチったのであった。うむ。