やっとの一枚

スカッ、と爽快、素敵な夏の一日。晴れ。

  • 天狗が沈む湾

と、いうわけで仙台2日目。トキオ行きバスの出発時刻は23時55分。だので本日も一日宮城を満喫しちゃうのだ!おー!と、いうわけで向うは松島。松島と言えば、松島湾松島湾と言えば、カヌーの携帯電話、だ。


忘れもしない一昨年の正月。正月早々訪れた松島から浮かれたメールを送ってきたカヌー。そしてその直後、購入したての携帯電話を、高尾山登頂記念に購入したいかめしい天狗のストラップをつけた携帯電話を、不注意で松島湾に沈めたのだ。ぶくぶくと。(■沈んだよ)そして今年の年初めにようやっと機種購入料金を全額払い終えたカヌー。2年もの月日をかけて使いもしない、松島湾にぶくぶくと沈むばかりの携帯電話機の料金を払い続けたのだ。そんなカヌーを散々、会うたび毎に、お酒が入れば入るほどに、笑い者にしていたわたし。だが、しかし。類というものは必ずや友を呼んでしまうものの如くカヌーに負けず劣らずのうつけ者のわたし。危険。ちょう、危険。やりかねない。が、しかしカヌーの二の舞にならない、絶対!我が素敵熊さんストラップを天狗さん同様この湾に沈めない、絶対!カヌーと同じ失敗だけは絶対にしたくないの、だ!いつまでもカヌーを笑う立場でいたいのだ!との願いを携帯電話を握る手にむぎゅうと込めて、緊張感でぷくぷくに膨らんだまま松島湾を遊覧。そんな緊張感のおかげからか海鳥の餌以外は湾に沈めることなく無事下船。よかった。本当に、よかった。そんな風に「カヌーを笑う立場」の地位を確固たるものとしたわたしは、下船早々、意気揚々と、やっとの思いで撮影した海鳥の写真を添えてカヌーにメールを送りつけてやったのだ。


松島湾を何事も無く遊覧し、カヌーにもメールを送りつけたその後は、ザ・昭和的香りぷんぷん「マリンピア松島水族館」をじっくりときゃいきゃいと堪能したり、松島湾といったら牡蠣だよね!と生牡蠣やらカキフライやらをビールとともにいただいちゃったり、仙台と言えば蒲鉾だよね!とこれまたビール片手にいただいちゃったり、赤い橋を渡ってたどりついた島を「探検だー!」と歳も忘れて探検隊ごっこに興じてみたり、と。とにかく丸一日かけて松島を楽しんだのだ。


日暮れとともに松島に別れを告げ、仙台へ戻る。その後バス出発時刻までの数時間を、仙台駅構内の土産物屋をうろうろしたり、ただぼんやりと仙台の街を眺めてみたり、そして昨日仙台到着後過ごしたマック・ドゥを再び訪れ(そこぐらいしか時間を潰せるところが思い浮かばなかった。)仙台で過ごした素敵時間を思い返してはニヤニヤしたり、これから乗るであろうバスのことを思ってはため息漏らしたり、楽しかった今回の旅の終りをちりちりと感じながら過ごしたのであった。ああ。


ついにむかえたバス発車時刻。ああ、さらば仙台。とセンチメンタルな気分に浸る間もなく、丸二日間仙台で元気目一杯遊びたおした我らは往路以上にせまっくるしい観光用バス(リクライニングすら困難)だというのにただの一度も目を覚ますことなく(おトイレ休憩にすら気づことなく)ぐっすりと約6時間の道のりを揺られ、未だ早朝だというのにムシっと暑いへトキオへと帰ってきたのであった。そして今年のわたしの夏は終わった。あーあ、終わってしまった。