「滋強飲料!」

週末のダメな感じを引きずる月ようび、曇り。

  • 土・日のこと

土よう日。十月の半ば頃からある特定の部位に痒みを伴う湿疹が出始めた。最初は「いやだわあ。虫だわ、きっと。虫に刺されただけよ。」と知らんふりしていたけれど、も、湿疹軍団の勢力が衰えることなく、いよいよ、これはこれは、いやはやなんとも、とかなり目立つ部位まで拡大してきたので観念してかかりつけの皮膚科へ行く。川沿いの薄気味悪い雑木林の中にひそり佇むこの医院。立地場所もさることながら、ところどころ亀裂が入った窓ガラス、電球が切れたままの待合室、長年の雨漏りの為ところどころ黒く朽ちている天井、所狭しと床に積み上げられた謎の(多分、医療関係)書物、剥げた案内看板、建て付けが悪くなりすぎて閉まらなくなった診察室の扉、などのアイテムを駆使してその医院全体で「幽霊医院です!」「呪われた診療室です!」「人体実験朝飯前です!」と無駄に、全力で、恐怖心を煽ってくれている。本当に、無駄に。電球切れの待合室と「手入れ」を放棄した、と、いうよりも「手入れ」という概念があるかどうか疑わしいほどに伸びきった入口付近の雑草のおかげでぱっ、と見た感じ開業中には見えない。逆にこの体で開業中のほうが「ええ!?これでやってるの!?嘘!?」と声をあげたくなるほどだ。が、そんな外観からは想像できないほど繁盛しているこの医院。聞く話によると「こちらの医師はやたらめったら腕が良いお方で、日本全国各地からその評判を聞きつけてわざわざこの医院にやって来る患者が後を絶たない。」とのこと。最初こそまったく信じられずにいたわたしであったが、数年前に何処の医者にかかっても一向に回復しない皮膚病を患った際、藁にも縋る思いで、人体実験も厭わぬ覚悟で、この医院でみてもらった。すると数日でつるりとすっかり綺麗に治ってしまったのだ。本当に嘘のようにつるりと綺麗に治ったのだ。何、この奇跡。ある意味、ちょっと怖い。と思いつつもそれ以来にいろいろとお世話になっているこの医院に、久しぶり、一年ぶりに、診察に訪れた。医院は、ますます老朽化が進んでいた、と、いうかちょっと崩壊していた。エントランスの柱の鉄骨がチラ剥きだしだった。
日ようび。幽霊医院から処方された薬の一つに「副作用として倦怠感、眠気等を引き起こす場合があります」とあり、まんまとその副作用に引き起こされた眠気と倦怠感の中、一日中ごろ寝ばかりして過ごす。「けっして好きでだらけているわけじゃあなくて、これは、薬の副作用ですから。しょうがないことなのです、よ」と誰に聞かす訳でもなしに、いちいち口にだしてはぐだぐだと、ごろごろと、だらだらと過ごした。