夢際のラストボーイ 永遠なるむげん 台風やってくる

  • わすれる

いろいろと忘れる。小さな頃からどちらかというと忘れものが、多い。分別つく年頃になれば自然と忘れものが治ると思っていたけれども、わりといい歳になった今でもいろいろと、忘れる。なんでもないような小さなものからわりと大事なものまで、ありとあらゆるものを忘れながら生きている。忘れるつもりはないのに、忘れたら困るのに、忘れては絶対にダメなのに、そういうものに限って忘れる。真っ先に忘れる。「あ、これ忘れないようにしないとダメなんだ!」と思った次の瞬間にはまるっと忘れている。それはもうきれいに忘れて取り返しのつかなくなった頃に「はっ!そういえばアレは!?…忘れた。」と思い出す。忘れたことすら忘れて、もう二度と思い出さなければいいのにわざわざ思い出し、自己嫌悪。まったくもう、だ。そして「出来ればすっきり忘れたいぜ、ベイベェ!」やら「ああああああああううううううううイヤアアアアアアアア!ヒイィツ!」やらの白目むき出しでもんどり打つほどの忌々しいことはやけにくっきりはっきり鮮明でつるっと、まるっと、忘れられないのだ。まったくもう、だ。と、いうわけで今日は財布から携帯電話からマイポディから自宅の鍵まですべてまるっと忘れた。辛うじて定期券だけは持っている。そういったものを忘れて今日のわざわざ持ってきたものは何かといえば、ポンチョ。現在、台風接近中。ぬれ鼠になるのだけはよっぽど嫌だったのでしょうね、昨夜のわたしは。使うかどうかもわからないポンチョをわりと大きめのデイパックにぽいと入れ、わたしは今TOKIOにおります。財布も何も持たないで、ポンチョだけを持って。ああ。まったくもう、だ。