あめ、降り続くよ土曜日

  • ちょっと前の出来事ですが、

事務所の郵便受けには郵便物盗難防止の為に鍵がついております。こりこりと数字を合わせる番号式南京錠がついております。この番号式南京錠の番号を合わせる部分がシブくて思うように、滑らかに、こりこりと、番号が合わないのです。毎度毎度スムーズにいかない番号合わせに「ぎいいいいいいいっ!!」となっております。三段の数字を合わせるタイプなのですが、一段目は気持ち良いほどスムーズにこりこりとまわり、次の二段目もわりとこりこりとまわり、そして最後の三段をこり、とまわそうとすると何故だか三段ともが、一致団結してガチリと固まりまったく動かなくなってしまうのです。何故、か!


やっきになってごりごりごりん、と回そうとしてもガチリとしたまま知らんぷりをする番号式南京錠。「むむっ!売られてる、これは喧嘩を売られてる!」と良く分からない事をもごもごブチつきながら番号を合わせるべく無理やりごりごりごりん、と回すのですが「ノウ!今度は三段一緒にまわった」となり、修正を試みようとさらに無理やりごりごりごりん、と回してみたら、ば、今度は折角合わせた二段目、一段目もこりこりとズレてしまったり、でもう本当に「ぎいいいいいいいっ!」となるしかないのです。毎度毎度。


で、その日もそのように番号式南京錠との死闘を繰り広げようやっと我が手に勝利をおさめ「ふふん、今回もまたこちらの勝利だよ、番号式南京錠くん!ふはははっ!」とニタラシイ笑みを浮かべ中の、勝利の証である郵便物を手に取ろう、取った、その瞬間!ビョフウウッと強い風が吹いてきて指先が掴んだ郵便物を空高く舞い上げてしまったのだ!


ノウッ!


それはそれは高く高く上昇し、樫の木よりも、椋の木よりも高く高く舞い上がり、お隣(空き家)のベランダへひらひらと落ちていった。うそ話のようで本当の話なのです。世の中こんなこともあるのですよ。実際、自分も郵便物が舞い上がり落ちるさまを見ながら「またまたぁー嘘!嘘!」と呟いてみたけれど、開け放たれた郵便受け、外された番号式南京錠、そして我が手にはあるはずの郵便物…だけが無い。何も、無い。ううむ。