牡丹に蜂

四月ももう終わります、晴れ

  • 一日

早朝。寝床の中にいる娘にむかい母が「さあ、早く車を出しなさい!」との言葉を投付ける。娘は寝床の中で目覚めて一分もたたぬうちに奥様付き運転手に任命される。普段からぼんやりとしている我が脳ではあるが、寝起きはことさらぼんやり。よくわからないうちに気がついたら奥様を乗せ我が田舎町からさらに山へとむかって車を走らせていた。あれーなんでー???奥様はお気に入りの山の出荷場で朝摘み新鮮野菜やら草花やらやらをシコタマ購入する。奥様ちょうご機嫌!運転手は、ううむ。その後、娘であるところの運転手は奥様の要望通り山を越えたり田畑をすり抜けたり川を渡ったり、と、とにかく方々へと車を走らせる。奥様であるところの我が母は午前中いっぱいを娘であるところのわたしを運転手として最大限利用する。


お昼。高校時代のクラスメイトで編み物仲間である友人宅へお呼ばれ。本日は同じく高校時代のクラスメイトである友人2名もお呼ばれ。かれこれ10年近く会っていない友人たちと久しぶりの再会。わたし以外は皆、お子連れ。ううむ。10年…か…。ひとむかし、か。などとちょっぴりおセンチになるが、しかし、お子が居ようがいまいがひと度話し始めれば懐かしのあの教室へ戻ったかのようにクダラナくもカワイらしい話で大盛り上がり。ぴちぴちと、うふふふと、絶えることなくお口を動かす。ここ最近味わえなかった無邪気な時間を過ごす。それでは、と友人宅を後にする頃には幾分若さを取り戻したかのように皆の肌が若干ぷっくりぴちっとしていた、ように思われる。そんなクダラなくもカワイらしい話の合間合間にあの頃のわたし達からは想像し難い「出産」や「ママ友」や「旦那の実家」やらやらのお三十路越えたそれなりの話題がちょいちょい挟まれたこともまた事実。やはり、10年。されど、10年。