「花頭窓」と言います。

あめ、フリー。

  • 火ようびの封印

先週末に申し渡された通り神奈川県まで出張お手伝いの火曜日。
日も昇らぬうちに我が家を出発。行楽以外で滅多に利用しない駅から電車に乗る。あれ?確か金曜日もこの駅から…もしやまた…?!と一瞬ヒヤリ思うも本日は無事に出発。そして始まる電車の旅。ガタガターと揺られ揺られて、田畑や川を越え越え、高層ビル群をすり抜けすり抜け数時間。ようやっと目的地へ到着。「本日は天気良し。今日鎌倉観光しないでいつするの!」的な言葉が聞こえてきそうな鎌倉に到着。観光客やら修学旅行生やらがワチャワチャキャッキャッ賑わう鎌倉駅に到着。今日一日、鎌倉を満喫しますわよ!覚悟なさい、鎌倉!とフーフー息巻き浮かれたマダム連を恨めしさ目一杯で見送り、別方向(非観光地方面)へ向かう。あー…。そして非観光地にある事務所でわたしを待っていたのは、ちょうど一年前の今日から現在の今日までに発行された書類の山、山、山。書類連山だった。なんと素晴らしい山並みだ!ううむ、絶景!世界遺産に認定すべきだ!鎌倉まで足を運んだかいがあったわ!などと一通り、思いつく限りのポジティブな言葉をぶちり、己をもり立てザカザカと山の切り崩しを始めた。一年間、何人も手をつけなかっただけあり地層の下の方はザラッザラの塵塗れ。よく解らないけれども何かしらの化学反応がおきてぺりぺりにくっついた束も発見。どういう訳だか地殻変動が起きて一年前の日付の下に最近の日付があったりで、まー!だか、ぎぃー!だか、ぶべー!だか、ともかく何事かを発っせずにはいられない、キャン ノット ヘルプ 〜ing!!とかなんとか妙なテンションのまま書類の山を切り崩し、しかるべき状態に整える作業をわざわざ鎌倉まで行き日暮れまでちまちまちまちま…。あー何が悲しくて鎌倉に来てまで…というネガティブな感情を封印しちまちまと書類整理に励んだ。いくら事務所のキッチンの排水溝から汚れた水槽臭がぷんわり漂ってきても、「もしや、金魚の2、30匹が残念な結果になっているんじゃあなかろうか?」と有り得ない妄想に捕われても、「その臭いが我慢ならなかった」からなのか、はたまた「先の妄想は本当に妄想なのか?現実は…!!」という好奇心からなのか自分でも理解しがたい衝動に激しく乱され最終的にキッチンの清掃を行うことになっても、我が封印を解くことなく鎌倉での仕事に励んだ、励み続けた。そして朝のマダム連も我が家に帰り、家族で夕餉の卓を囲み、今日の出来事を声弾ませ高らかに報告しているであろう時刻にすっかり静まり返った鎌倉駅に別れを告げた。こうしてわたしの人生初鎌倉は終わった。

そして火ようびの封印を今解いたのだ。